Sunday, September 11, 2011

[Review] Brutus No.716 恋愛特集

蒼井優の表紙に惹かれて、Brutusの最新号の恋愛特集を買ってみた。


★★★★★

恋愛の歴史的起源とかニーチェも愛したザロメの話など極めて硬派な記事から、大根仁さんを含むコメンテーターのQ&Aなどのお茶らけた記事までバラエティに富んでいた。実用的な話はあまり多くなく、全体として読み応えのある深い内容だった。

蒼井優が、3回登場する。今回のインタビューに限らずいたる雑誌で恋愛の不器用さをアピールしているけど、それでいてしっかり恋愛を楽しんでいるところが好き笑 「恋のメッセージは、語られるより活字の方が好みです。」とかいうから、蒼井優はやっぱスペシャルな女優だよなー。今回の特集の中で、いろんな作家や詩人が出てきたけれども、太宰治は恋愛の天才だと思った。蒼井優が惚れるのもわかる。

立川談春さんの「恋と落語」の記事もおもしろかった。江戸時代の幕府公認の遊郭である吉原では、花魁(キャバ嬢みたいなものか)たちに拒否権があったのだという。だからお金を払って行くのに嫌われて何もできないこともある。それが、「粋」とか「野暮」という言葉につながり、今日の日本人の価値観や美的感覚にもつながっているのだそうだ。

糸井重里さんも実は登場する。糸井さんはコピーライターだから普通導入部分でよくみるけど、今回はトリで出てくる。4部構成の力作。第2部「差異があるから恋愛が生まれる」というところに同意した。糸井さんいわく、最近は性の性愛(Sex)の方だけ一人歩きして、~性(Characteristics)の方が忘れられているという。ミスチルのSignの歌詞「似てるけどどこか違う、だけど同じ匂い」と類似。やっぱり自分と違うところ持っている人に惹かれるよね。

盛りだくさんだが、最後は坂口安吾の名文で締めさせていただく。(p.21の佐々木中氏の記事から抜粋。)
「教訓には二つあって、先人がそのために失敗したから後人はそれをしてはならぬ、という意味のものと、先人はそのために失敗し後人も失敗するにきまっているが、だからするなとはいえない性質のものと、二つである。
 恋愛は後者に属するもので、所詮幻であり、永遠の恋などは嘘の骨頂だとわかっていてもそれをするな、といい得ない性質のものである。それをしなければ人生自体がなくなるようなものだから。」 (坂口安吾全集05、筑摩書房)

たくさん失敗しよう!

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