Sunday, April 10, 2011

何度も聴きたくなる音楽の条件

Foo Fightersの新作『Wasting Light』の日本版リリースが4/20に迫ってきているが、今月のrokin'onでメンバーのインタビューを読んでますます楽しみになった。まあ、もうここで全曲視聴できるので、すごく良いのは承知だけど。



今回のアルバムの最大の特徴は、ある意味時代に逆行して、デイヴのガレージでのアナログレコーディングを採用しているということ。そして、それが大成功していると感じる。以下、インタビューの関連部分の抜粋(一部省略)。

デイヴ「このアルバムは毎日のようによく聴いてて、そんなアルバムは久しぶりなんだけど、俺たちらしいサウンドだから好きなんだと思う。」

テイラー「俺もこのアルバムを聴くのが好きなんだけど、多分その理由の一つは、人間味があるからだと思う。今時のアルバムって完璧に作り込みすぎてるから三次元的な面がなくて平坦で、ヴォーカルの音程もドラムやベースのタイミングも完璧で、一度か二度聴いたらもう聴く部分がないんだ。でも。昔の音楽を聴くと『スターウォーズ』のサントラとかなんでもいいけどさ、聴くたびにちょっとした不完全を発見する。ちょっとした人間味がそこにある。これは、俺の持論だけど、そういう人間性がある音楽こそ何度も聴きたくなるものだと思うんだ」

デイヴ「アーケイド・ファイアがグラミー賞の最優秀アルバムを受賞したのは、素晴らしいことだよな。レコード業界の人たちが“人間らしい音”がしない音楽に飽き飽きしていることの表れに思える。彼らの音楽があれだけ公に賞賛されたっていうのは、一大事だよ。巨大な勝利だと思う。バンドたちにとってのね。」


もう、4.White Limoなんてガラージ感抜群で何度聴いても飽きないよね。それはぶん、ラウドであってもメロディーが卓越しているというFoo Fightersの特徴(デイヴはクラシックギターも大好きで、アコースティックの作品も出している)もあるけれど、やはり無意識のうちに質感としてあらわれている微妙な不完全さ―人間味―なのだと思う。これは、なぜいまだに多くの人が昔のアナログのレコードの音に愛着を感じるのかということとも通じる。また、音楽に限らず、スタジオ・ジブリがかたくなに手書きのキャラにこだわり、そして世界中でファンを獲得し続けているのかということとも通じると思う。私自身も、クレヨンしんちゃんやドラえもんなどの長寿アニメに関して、最近のCGっぽくきれいになったやつよりも昔のような手書き感のある絵の方が好きだし。

デジタルはデジタルで独特の質感があって、それを積極的に採用するのも一つの手法だけど、単に商業的な理由で最新機器を使っててっとり早く完成度の高い作品を作っても、それが長く愛される作品となるかは甚だ疑問だ。いかに技術が発達しようとも、芸術に関しては「不完全さの残った人間性」から人間は逃れられないのかもしれない。